「ポートフォリオって、何を載せればいいんだろう…?」
IT業界への転職を目指す中で、そう感じている方も多いはずです。特に未経験からの挑戦では、実務経験の代わりになる“スキルの証明”として、ポートフォリオの有無が選考結果を大きく左右します。
とはいえ、ポートフォリオサイトの作り方は「職種によって違う」「採用担当に響く構成がある」など、単に作品を並べるだけでは通用しないのが実情です。
本記事では
- そもそもポートフォリオはなぜ必要か?
- 職種別の構成例(Web、アプリ、インフラなど)
- 未経験でも評価される見せ方の工夫
- 提出時の注意点や使い方
といったポイントを、実践的な視点でわかりやすく解説します。
これから転職活動を始める方、今あるポートフォリオをブラッシュアップしたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
ポートフォリオサイトは“スキルの証明書”になる
転職活動において、履歴書や職務経歴書はあくまで「言葉によるアピール」に過ぎません。対して、ポートフォリオサイトは、自分の技術を“実物”として見せられる証拠になります。
特にIT職種では、
- どんな技術が使えるか
- コードの読みやすさや設計力
- UI/UXや構成のセンス
といった要素が、目で見て一発で伝わるため、非常に効果的なアピール手段になります。
書類では伝えきれない「実力」を可視化できる

「HTMLとCSSができます」と書くよりも、自作のWebサイトやアプリを見せる方が説得力があるのは言うまでもありません。
また、実務経験が少ない場合でも、ポートフォリオが“代替証明”となり、企業に「この人なら育てれば伸びそう」と思わせることができます。
採用担当がポートフォリオで見ているポイント
ただし、ポートフォリオを作れば何でもOKというわけではありません。以下の点は、実際の採用現場でよく見られているポイントです。
- その人の得意分野が明確か
- 開発や設計の背景が説明されているか
- GitHubやコードの品質も見られている
💡MEMO:見栄えよりも「中身の筋が通っていること」の方が評価されます。コードが雑でも、なぜそのように書いたのかをきちんと説明できれば、ポテンシャルとして評価されやすくなります。
職種別!ポートフォリオに載せるべき内容とコツ
ポートフォリオの“正解”は、職種によって異なります。ここでは、Web・アプリ・インフラといった代表的なIT職種ごとに、採用担当がチェックするポイントや構成のコツを紹介します。
Webエンジニアの場合
- UI/UXを意識した設計:自己紹介ページや仮想サービスなどの実装例
- レスポンシブ対応:PC/スマホで表示が崩れないか
- GitHubとの連携:ソースコードを公開し、保守性や命名規則も見られる
使用技術(HTML/CSS、JavaScript、React/Vueなど)を明記し、どの技術で何を作ったかがひと目で分かる構成にしましょう。
アプリエンジニアの場合
- iOS/AndroidアプリのUI動画:App StoreやGoogle Playに公開していなくてもOK
- 使用フレームワーク・アーキテクチャの明示(例:Swift+MVVM)
- 開発目的や工夫点の説明:何を意識して設計・実装したか
未公開アプリは、画面キャプチャや操作動画、GitHubコードなどで雰囲気を伝えることが大切です。
インフラエンジニアの場合
- ネットワーク構成図やクラウドアーキテクチャ図
- TerraformやAnsibleなどのIaCコード
- 冗長化や監視設計に関する記述
「実際にサーバーを構築した経験」よりも、「どう考えて設計したか」という思考プロセスの可視化が評価されやすいです。
その他の職種
- UI/UXデザイナー:FigmaやAdobe XDのリンク、制作背景の説明
- データアナリスト:可視化ダッシュボード(Tableau等)やSQLクエリ例
- セキュリティ系:CTF参加履歴、脆弱性診断の模擬レポートなど
どの職種でも共通して言えるのは、「実績の見せ方より、伝え方」が重要ということです。
📝 POINT:未経験でも“自分がどんなエンジニアになりたいか”が明確に伝われば、評価されやすくなります。
未経験でもできる!ポートフォリオサイトの作成手順
「実務経験がないからポートフォリオなんて無理…」と感じている方も多いかもしれませんが、未経験でも十分に評価されるサイトを作ることは可能です。
ここでは、コストを抑えつつ、最短で形にするための3つのアプローチを紹介します。
① GitHub Pages+HTML/CSSテンプレートで簡単公開
コーディングに慣れているなら、GitHub Pagesを使えば無料で静的なサイトを公開できます。
- ポートフォリオテンプレート(HTML/CSS)をカスタマイズ
- GitHubのリポジトリにアップロード
- 公開URLを履歴書や応募フォームに貼り付け
学習も兼ねて作る場合は、「技術+構成力」を同時にアピールできて一石二鳥です。
② WordPressで「自己ブランディング型」サイトに
もう少し柔軟な構成やデザインを目指したいなら、WordPressを使ってポートフォリオ+ブログのハイブリッド型にするのもおすすめです。
- 自分の専門領域を発信する記事
- 学習記録や成果の整理
- お問い合わせフォームやSNS連携
「この人はちゃんと自走して学んでるな」と感じてもらえると、書類選考でも好印象を持たれやすくなります。
③ 実績がなくても「仮想プロジェクト」で魅せる
未経験の方が悩みがちな「実績ゼロ問題」も、架空の課題解決型ポートフォリオを作ればカバーできます。
例:
- 架空の飲食店の予約管理システム
- 架空の地域ポータルサイト
- 仮想ECサイトの商品登録・検索機能
大切なのは、「どう設計し、どう考えて作ったか」を丁寧に説明すること。現場目線のストーリーがあるだけで、見る側の印象は大きく変わります。
💡補足:実績がなくても「この人は伸びる」「思考が実務寄りだ」と思わせられればOK。採用担当は“未来への期待値”も見ています。
採用担当に刺さるポートフォリオにするための5つの工夫
せっかく時間をかけて作ったポートフォリオも、「伝わらなければ意味がない」です。採用担当に“おっ、ちゃんと考えて作ってるな”と思わせるための工夫を5つ紹介します。
① ファーストビューで「何ができるか」を明示する
サイトに訪れた瞬間、「この人はWeb系?アプリ系?何が得意?」がすぐに伝わるようにしましょう。
- 冒頭に「Webフロントエンジニア志望」など職種明記
- スキルアイコンや紹介文でスキルセットを簡潔に表示
数秒で離脱されないためには、第一印象の設計が重要です。
② コードやUIは「シンプル&読みやすさ重視」
凝った演出よりも、見やすく・迷わない・動作が軽いことの方が高評価です。
- メニュー構成は3〜4カテゴリ以内
- 冗長なアニメーションや派手な色使いは避ける
「シンプル=雑」ではありません。「意図的にシンプルにしている」ことを伝える文言があると効果的です。
③ GitHubリポジトリは整理しておく
GitHubを使っている場合、ポートフォリオの中から該当リポジトリに直接リンクを貼りましょう。
- READMEにプロジェクト概要・機能一覧を明記
- コミット履歴が綺麗で、命名も規則的だと好印象
リポジトリが荒れていると、ポートフォリオ全体の印象まで下がることがあるので注意です。
④ 開発背景や意図を「ストーリー化」する
「なぜこの機能を作ったのか?」「何を意識して設計したのか?」など、背景の説明があると一気に説得力が増します。
実際の現場でも「意図を説明できるエンジニア」は重宝されます。
⑤ スマホ・タブレットでも見やすく
採用担当者がスマホでポートフォリオをチェックするケースもあります。レスポンシブ対応は必須です。
「スマホで見やすいUIにしている」ことを一言添えるだけでも、細部への配慮として伝わります。
📝 POINT:見た目や技術よりも、「読み手への配慮」があるかどうかが評価の分かれ目。採用担当の目線で構成してみましょう。
ポートフォリオ提出時の注意点と効果的な使い方
せっかくポートフォリオを作っても、提出タイミングや伝え方を間違えると十分な効果が出ないこともあります。ここでは、提出時に気をつけたいポイントと、よくあるNG例を紹介します。
① 応募時にURLを添えるベストな方法
ポートフォリオは、履歴書・職務経歴書と一緒にURLで提出するのが一般的です。
- 履歴書:連絡先の下にポートフォリオURLを記載
- 職務経歴書:スキルや自己PR欄の末尾にURLを記載
- 応募フォーム:備考欄やポートフォリオ欄に入力
あらかじめ「ポートフォリオ:〇〇(URL)」と書いておくと、採用担当も見つけやすくなります。
② チーム開発未経験でも見せ方で印象UP
実務やチーム開発の経験がなくても、「仮想チームでの役割分担を想定して説明」するだけで印象が変わります。
例:「チーム開発を想定し、私はフロント担当として設計からコーディングまでを実施。バックエンドはAPIとして別構成を仮定しました。」
思考が実務的であることが伝われば、未経験でも十分評価されます。
③ よくあるNG例と改善アドバイス
- 公開停止やリンク切れ:応募時に「見られない」は致命的。必ず事前チェック。
- GitHubのREADMEが空:最低限、機能説明や環境情報を記載しましょう。
- 自己満足型のUI:派手な演出や重い動作は逆効果になることも。
「使う人(=採用担当)の目線で整える」という意識を忘れずに。
⚠️ 注意:ポートフォリオは“更新が止まっている”と悪印象になる場合もあります。最低限、公開中であることと、内容が古くなりすぎていないかをチェックしてから提出しましょう。