「CRMマーケティングってよく聞くけど、結局どんな仕事なの?」
「顧客管理とどう違うの?データ分析がメイン?」
最近の求人市場では、「CRM経験者歓迎」「CRM施策の企画・運用」などのワードが目立つようになってきました。
特にSaaS企業やD2Cブランド、EC運営企業など、“顧客と長期的な関係性を築く”ビジネスモデルでは、CRMマーケティングの存在感が増しています。
本記事では、CRMマーケティングの基本知識から仕事内容、求められるスキル、キャリアパス、未経験からの目指し方まで、網羅的にわかりやすく解説します。
✔ 未経験からマーケティング職を目指したい方
✔ データを活かす仕事に就きたい方
✔ 顧客との関係づくりにやりがいを感じる方
こんな方に向けた内容です。
CRMマーケティングとは?|定義と基本の役割
CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略語で、直訳すると「顧客関係管理」。
従来のCRMは「顧客名簿を整理する」「購入履歴を保存する」などの顧客データの管理が中心でしたが、近年はそこにマーケティングの視点が加わり、より進化した形としてCRMマーケティングが注目されています。
単なる顧客管理とどう違う?

顧客管理は情報の「蓄積」が主な目的ですが、CRMマーケティングでは「蓄積→分析→施策」まで行います。つまり、
- 顧客ごとの属性・行動履歴を分析
- その分析に基づいてアプローチ方法を決定
- 配信・通知・提案などを実施し、反応を計測
このように、顧客ごとの最適な体験やアクションを生み出すのがCRMマーケティングの役割です。
“顧客育成”という視点が重要
CRMマーケティングの中核にあるのは、顧客との長期的な関係性を築き、LTV(顧客生涯価値)を最大化することです。
たとえば:
- メルマガで購入後フォローを行い、再購入を促す
- アプリ内通知でロイヤルユーザーに特典を案内する
- LINEやSNSでのクーポン配信にセグメントを設ける
これらはすべて、「ただ売って終わり」ではなく、“関係を続ける”仕組み作りです。
✔ 単なる事務的な顧客管理ではなく、顧客ごとの体験価値を設計するのがCRMマーケティングの魅力です。
具体的な仕事内容|ツール活用から施策運用まで
CRMマーケティング職の業務は多岐にわたりますが、「顧客のデータをもとに、関係性を深めていく施策」を設計・運用するのが基本軸です。
主な業務内容
以下のような業務が日常的に行われます。
- 顧客データの収集・整理
購入履歴・閲覧履歴・問い合わせ履歴などを集約し、CRMツール上で一元管理します。 - セグメントの設計
年齢、性別、購入頻度、最終購入日などの条件で顧客を分類します。 - シナリオ作成と配信設定
「〇日後にメルマガ送付」「カゴ落ちユーザーにリマインド」など、自動で顧客に接点を持つ仕組みを設計します。 - 効果測定・レポート作成
開封率、クリック率、CVR(コンバージョン率)などを測定し、施策改善に活かします。 - 他部門との連携
ECチーム、CS(カスタマーサポート)、開発などと連携し、顧客体験全体を最適化します。
✔ 「ユーザーの気持ちを読み取り、適切なタイミングで適切な情報を届ける」ことが、CRMマーケターの腕の見せどころです。
使用ツール例
CRM業務では、様々なマーケティングツールが活用されます。代表的なものを紹介します。
ツール名 | 主な用途 |
---|---|
Salesforce | 顧客管理、営業支援、マーケティング自動化 |
HubSpot | MA(マーケティングオートメーション)ツール、見込み顧客管理 |
カスタマーリングス | EC特化型CRM、セグメント別の配信・分析が得意 |
KARTE | リアルタイム接客・行動データに基づくUX設計 |
これらのツールを使いこなすことで、手作業では不可能な“1to1マーケティング”を自動化しながら実現できます。
日々の仕事の流れ(例)
CRMマーケターの1日の業務イメージは以下のようになります。
- 朝:前日の配信結果をチェック(開封率やクリック率)
- 午前中:週次レポートを作成し、改善点をチームで共有
- 午後:新しいキャンペーン施策のシナリオを設計
- 夕方:ターゲットセグメントを抽出し、LINE配信予約を設定
✔ 単なるデータ処理ではなく、「数字の裏にある顧客の行動心理」を読み解く力が求められます。
他のマーケティング職とどう違う?比較で理解
CRMマーケティングは「マーケティング職」の一種ですが、Web広告運用やSNSマーケティングなどとは役割や目的が大きく異なります。ここでは、他の職種と比較しながら違いを明確にしていきましょう。
Webマーケティングとの違い
Webマーケターは、主にGoogle広告やSNS広告などを使って、新規顧客の獲得(集客)に注力します。
一方で、CRMマーケターは、既存顧客との関係構築・リピート促進が主な目的です。
比較項目 | Webマーケティング | CRMマーケティング |
---|---|---|
主なターゲット | 新規顧客 | 既存顧客 |
KPI | クリック率、CV数、CPAなど | LTV、再購入率、離脱率など |
施策内容 | 広告出稿、SEO、LP改善など | メール配信、アプリ通知、育成シナリオなど |
このように、「集客」か「育成」かという軸で明確に役割が分かれていることが分かります。
広告運用やSNSマーケとの違い
広告やSNSは瞬間的なアプローチが得意な手法ですが、CRMは長期的・段階的なアプローチが前提となります。
- 広告:幅広く認知を広げる
- SNS:共感や話題性でファンを作る
- CRM:ファンとの関係性を深化させ、収益に変える
特に最近では、「広告コストの高騰」や「個人情報規制の強化」により、“今いる顧客を大事に育てる”CRM施策が注目されています。
「獲得」から「育成」への時代へ
現代のマーケティングは、以下のような流れで成り立っています。
- 広告で認知・集客(Webマーケティング)
- 購入後の満足度を高める(CX施策)
- リピートやファン化を促進(CRMマーケティング)
このうち、フェーズ③の“顧客育成”を担当するのがCRMマーケターです。
✔ 広告やSNSでの「入口づくり」ではなく、CRMは「顧客との関係を続ける仕組み」をつくる仕事です。
このように他のマーケティング職とは異なるポジションでありながらも、密接に連携して全体の成果を最大化する役割も担っています。
求められるスキルと資質|向いている人とは?
CRMマーケティングは、データを扱う「理系的」な側面と、顧客の気持ちを想像する「文系的」なセンスの両方が求められる職種です。
ここでは、CRMマーケターに必要とされる代表的なスキルと、向いている人物像を紹介します。
① データリテラシーと分析力

CRMマーケティングの仕事は、数字から仮説を立て、施策を打ち、結果を検証することの繰り返しです。以下のような基本的な分析スキルは必要不可欠です。
- Google AnalyticsやBIツール(Tableau、Looker)での数値分析
- Excel、Googleスプレッドシートでのデータ集計・グラフ化
- セグメント別の反応率や離脱率の比較検証
✔ 数学が得意でなくても問題ありませんが、データに抵抗がないことは重要です。
② 顧客視点のマーケティング思考
CRMは「顧客中心」の考え方がベースにあります。
一人ひとりの顧客の行動や気持ちを想像し、最適なタイミング・内容でアプローチできる人が活躍します。
たとえば:
- なぜこの人は2回目の購入に至らないのか?
- どんな情報を届ければ“あと一押し”になるのか?
こうした仮説力と改善思考がCRMマーケターには求められます。
③ 論理的思考力とPDCAスキル
施策の設計から配信、効果検証、改善までを繰り返すには、PDCA(Plan-Do-Check-Action)を回す力が不可欠です。
一つひとつの施策に対して「なぜやるのか?」「成功の定義は?」「どう改善すべきか?」を自問しながら、業務を進められる人はCRM職に非常に向いています。
④ ツール操作スキル(慣れでOK)
CRMツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールを日常的に使うため、ITツールに対する抵抗感がないことも大切です。
初めは操作に戸惑うかもしれませんが、ほとんどのツールはマニュアルやサポート体制が整っており、未経験でも十分対応可能です。
こんな人が向いています
- 細かいデータを見るのが苦ではない
- 論理的に物事を考えるのが好き
- 「顧客の気持ちになって考える」が得意
- 改善や検証のサイクルが好き
- 施策の反応が数字で返ってくるとワクワクする
✔ 「人と数字、両方が好き」な方には、CRMマーケティングは非常に相性が良い仕事です。
キャリアパス|CRMから始まる広がり
CRMマーケティングは「顧客を知り、行動を促し、関係を深める」仕事。
この経験は、マーケティングの中でも横展開しやすく、将来のキャリアの幅を大きく広げることができます。
① CRM → マーケティングマネージャー

CRM領域で成果を出すと、マーケティング部門全体の戦略やマネジメントを任されるケースがあります。
- CRMデータを軸にWeb広告、SEO、SNSなどと連携
- チームを束ね、キャンペーン全体を統括
数値に強く、かつ「顧客視点」がある人材はマネージャー候補として非常に重宝されます。
② CRM → カスタマーサクセス or CX戦略
CRMの経験を活かして、カスタマーサクセス(顧客支援)やCX(顧客体験設計)にキャリアを広げる人も増えています。
- 顧客の声を集め、商品やサービス改善へ活かす
- アンケートやNPSデータを分析し、満足度向上を図る
- UX/UI部門と連携して、より使いやすい導線を設計する
“売って終わり”ではなく、長期的な顧客関係を重視する視点は、あらゆる業界で評価されるスキルです。
③ CRM → プロダクトマネージャーやBizDev
CRM施策を通じて、ユーザーの声やデータに詳しくなると、サービス改善や新機能提案の仕事にも関われるようになります。
たとえば:
- 購買率が高い導線をヒントにUI改善を提案
- 離脱の多いステップを解消する機能を企画
これらはまさにプロダクトマネージャー(PdM)やBizDev(事業開発)職の視点。CRM出身のPdMは実は少なくありません。
④ 活躍できる業界も拡大中
CRMマーケティングは以下のようなリピートビジネスに強い業界で重宝されています。
- SaaS・サブスクリプションサービス
- EC・D2Cブランド
- 人材紹介・教育系サービス
- 美容クリニック・ジム・フィットネス
- アプリ・ゲーム業界
こうした業界では「新規よりも既存を深く」がテーマになるため、CRM経験者の価値は今後さらに高まると見られています。
✔ CRMマーケティングは、キャリアの“終点”ではなく“始まり”。
データ・戦略・顧客理解を軸に、あらゆるマーケティングキャリアへ展開可能です。
よくある質問(Q&A形式)
Q1. CRMマーケティングって未経験でも応募できますか?
A. はい、応募可能です。特にポテンシャル採用やアシスタント職では、未経験歓迎の求人も増えています。Excelスキルや顧客志向があると、書類選考の通過率も高まります。
Q2. ITスキルや分析スキルがなくても大丈夫?
A. 初心者向けのツールが増えており、操作は学習で十分カバー可能です。特別なプログラミング知識は不要で、基本的なデータの見方やレポート作成ができれば大丈夫です。
Q3. CRMマーケティング職の年収はどのくらい?
A. 未経験者は年収350〜450万円前後が多く、経験者になると600〜800万円クラスの求人もあります。SaaS企業や大手ECではインセンティブや昇給制度も充実しています。
Q4. Webマーケと比べて、どっちが市場価値高い?
A. Webマーケは集客力、CRMはリテンション(維持・育成)力で評価されます。両方の経験がある人材は希少性が高く、マネジメント層として重宝されます。
Q5. 学歴や職歴に自信がなくても挑戦できますか?
A. 十分挑戦できます。学歴よりも「顧客理解への姿勢」や「数字に基づく提案力」が重視される職種です。未経験でも成果を出して評価されている人は多く存在します。
✔ 不安がある方は、まずは「CRMアシスタント」や「マーケティングサポート」など、入り口ポジションを目指してみましょう。