転職を考えるタイミングは人それぞれですが、「自分は市場でどのくらいの価値があるのか?」という疑問を持ったことがある方は少なくないのではないでしょうか。
私自身、20代後半から30代にかけて、数回の転職を経験してきました。その中で感じたのは、「自分の市場価値は、自分だけではわからない」という事実です。そして、その“見えない価値”を言語化し、客観的に教えてくれた存在こそが、転職エージェントでした。
この記事では、私の体験をもとに「市場価値の正しい測り方」と「転職エージェントの活用法」、そして「転職におけるベストなタイミングの見極め方」について、詳しくお伝えしていきます。
なぜ、自分では市場価値が見えにくいのか?

そもそも「市場価値」とは、スキル・経験・業種・年齢などを踏まえた“他社から見た自分の評価”です。これは自己評価ではなく、あくまで“市場における価値”であるため、自分一人で判断するのは非常に難しい。
例えば「Excelが得意」と思っていても、それが他社でも通用するレベルなのか、あるいは「未経験で頑張ってきた経験」がどれほど評価されるのかは、自分ではなかなか判断できません。社内評価と市場評価がまったく違うことも多く、これが転職でギャップを生む原因になります。
「なんとなく不安」から始まった転職サイト登録
新卒で入った企業では、それなりにやりがいを感じながら働いていました。ただ、ふと「他社と比べて自分の年収って低いんじゃないか?」「スキルって他社でも通用するのかな?」という漠然とした不安を覚えるようになりました。
そのタイミングで、ふと思い立って転職サイトに登録。軽い気持ちで職務経歴書を入力し、公開設定にしてみたところ、想像以上に多くの転職エージェントから連絡が来たんです。
ここで初めて「自分って思ったより評価されるんだ」と知りました。これが、自分の市場価値に気づいた最初のきっかけでした。
職務経歴書は「書いて終わり」ではなく「定期的に見直すべきもの」

私はそれ以来、半年に一度、職務経歴書を更新するようになりました。
たとえば新しいプロジェクトに参加したら、関わった業務内容や使ったツール、成果などを記録しておき、それを職務経歴書に反映する。ちょっとした習慣ですが、この蓄積がとても大事なんです。
更新することで自分のスキルを客観的に整理できるし、転職エージェントにとっても「この人は今こんな価値がある」と把握してもらいやすくなります。つまり、職務経歴書は“自分の価値を可視化するツール”であり、エージェントとの共通言語なのです。
職務経歴書を強化する3つのコツ
- 成果は数字で表現する:例:「業務効率を20%改善」「月間売上1200万円を達成」など
- 職種に応じた専門用語を使う:採用担当者に伝わる言葉で記載
- テンプレだけに頼らず、自分の言葉で書く:エージェントが添削しやすくなる
転職エージェントを「相談相手」として使うという考え方
転職エージェントと聞くと、「すぐに転職させられるのでは?」「求人をゴリ押しされるのでは?」という不安を持つ人もいるかもしれません。でも、私の経験上、長期目線で伴走してくれるエージェントが多いと感じています。
あるエージェントとは、2年ほど定期的にやり取りをしていました。半年ごとに「最近の市場の動向」「私の職務経歴書を見て感じた価値」などを丁寧にフィードバックしてくれました。
とくに印象的だったのは、「現職でもう少し経験を積んだ方がよい」とアドバイスされたこと。エージェント=転職させるのが仕事、というイメージでしたが、そうではなく「本当にその人のキャリアにとって何がベストか」を見てくれていたんです。
複数のエージェントを使い分けるメリット

私は一時期、3社ほどのエージェントを同時に活用していました。それぞれ強みが異なり、A社は外資系に強く、B社はITベンチャーに精通、C社は大手求人を豊富に持っていました。
複数使うことで、求人の幅が広がるのはもちろん、自分の経歴に対する「見方」の違いも知ることができます。あるエージェントに「マネジメント寄り」と言われたかと思えば、別のエージェントには「技術系の深堀りを推すべき」と指摘されるなど、多面的な気づきがありました。
市場価値の変化はキャリアのどの段階で起きる?
私の場合、「市場価値が上がった」と感じたタイミングは、以下のような局面でした。
- 初めてのプロジェクトリーダー経験を得たとき
- 資格(例:PMPやAWS認定)を取得した直後
- 副業で別の業界にも関わったとき
いずれも「自分では大きな変化だと思っていなかったこと」ばかりです。しかし、エージェントからの評価は明らかに変わり、「即戦力として推薦できます」とまで言われるようになりました。
私が年収を上げ続けられた理由
私は、転職のたびに年収を上げてきました。ただしこれは、「とにかく転職すればいい」という話ではありません。常に“市場での自分の価値”を把握していたからこそ、強気の条件交渉もできたのです。
実際、ある転職では現職よりも年収が100万円以上アップしましたが、これはエージェントが「あなたのスキルならこの水準が妥当」と市場相場を教えてくれたおかげです。
つまり、エージェントと職務経歴書をうまく活用すれば、キャリア戦略を自分主導で組み立てられるということなのです。
まとめ:転職エージェントは「自分を映す鏡」になる
転職エージェントを活用することは、ただ求人を紹介してもらうだけではありません。
- 自分の市場価値を客観的に知る
- キャリアの方向性を整理する
- 自分の「売り」を言語化する
- ベストなタイミングで動く準備をする
「今すぐ転職したいわけじゃないけど、なんとなく不安」「年収が低い気がする」「このままでいいのか不安」そんな気持ちが少しでもあるなら、まずは職務経歴書を更新し、転職エージェントに登録してみてください。
自分を映す“新しい鏡”に出会うことで、これまで見えなかったキャリアの景色が広がるはずです。